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  3. 2次関数を求める問題の答えの形―\(y=a(x-p)^2+q\)、\(y=ax^2+bx+c\)、\(y=a(x-α)(x-β)\)のどれを選ぶ?―

2次関数を求めよ、という問題を解いて答え合わせをすると、模範解答は自分の答えと違う形で書かれている…

ここで、模範解答と違う自分の解答は間違いなのか、それともどんな形で答えても正解として良いのか悩む人も多いでしょう

絶対に模範解答通りの形でなければならないのか、本当はどちらでもいいのか、そもそもなぜ模範解答はいくつかある答えの形式から、「その形」を選んで答えているのか、これらの疑問を解消していきます

模範解答通りの書き方でなくても正解としてもらえる

2次関数の式を求める問題の答えは、次の3通りのうちのどれかで書かれています

結論から言うと、上記3つの形のどれかで答えていれば、その問題は正解となります

「どれでもいいなら、自分の好きな形で答えてもいいよね」と言いたくなる気持ちもわかりますが、模範解答で選ばれてる形には「その問題を解くにあたって、最も答えを求めやすい形だから」という理由があります

つまり、自己流にこだわらず、模範解答通りの答え方をすると、とっても楽に答えを求めることができるので、模範解答通りの答え方をどんどんマネしていきましょう

成績アップのコツ、友達に説明できるくらいまで知識を深めよう

3通りの答え方の使い分け

3通りの答え方のうちどれを選ぶのかは、問題文に書かれている情報によって変わります

●頂点の座標や軸の方程式がわかっているとき…\(y=a(x-p)^2+q\)

●頂点の座標や軸の方程式がわからず、通る点の座標などがわかっているとき…\(y=ax^2+bx+c\)

●\(x\)軸との交点が2つわかっているとき…\(y=a(x-α)(x-β)\)

このように、問題文に書き込まれている情報から、「いま、何がわかっているか」によって答えの式の形を使い分けます

次は、例題を使って答えの形の使い分けを説明していきます

\(y=a(x-p)^2+q\)の形で答える問題の例

\(y=a(x-p)^2+q\)の形で答えを書くと良いのは、頂点の座標や軸の方程式がわかっているときです

問題:頂点が\((6,1)\)で、点\((4,-11)\)を通る放物線の式を求めよ

この問題は頂点の座標がわかっているので、\(y=a(x-p)^2+q\)の形で答えを書きます

まず、頂点の座標より、\(p=6\)、\(q=1\)なので、これらを答えの式の形に代入します
\(y=a(x-6)^2 +1\)

次に、\(a\)の値を求めるために、座標\(4,-11\)を\(y=a(x-6)^2 +1\)の\(x\)と\(y\)に代入し計算します

\begin{align}-11=&a(4-6)^2 +1\\-11=&4a+1\\4a=&-12\\a=&-3\end{align}

よって、\(y=-3(x-6)^2 +1\)

ここで計算を終了し、答えを書きます
ここから展開して答えの形を\(y=ax^2+bx+c\)にしたり、そこからさらに因数分解して\(y=a(x-α)(x-β)\)の形にする必要はありません

せっかく答えを求められたのに、さらに計算を続けてミスをすると元も子もありません

\(y=ax^2+bx+c\)の形で答える問題の例

\(y=ax^2+bx+c\)の形で答えを書くと良いのは、頂点の座標や軸の方程式がわからず、通る点の座標などがわかっているときです

問題:グラフが3点\((1,2)\)、\((2,3)\)、\((-1,6)\)を通るような2次関数を求めよ

この問題のように、2次関数が通る点しかわかっていないときは、\(y=ax^2+bx+c\)の\(x\)と\(y\)に各座標を代入した式を3つ作り連立させ、連立3元1次方程式として計算します

まず、\((1,2)\)、\((2,3)\)、\((-1,6)\)をそれぞれ\(y=ax^2+bx+c\)に代入し、連立3元1次方程式にします

点\((1,2)\)を通るので\(2 =a+b+c\)
点\((2,3)\)を通るので\(3=4a+2b+c\)
点(-1,6)を通るので\(6=a-b+c\)

よって\[\left\{\array{2=&a+b+c…①\\3=&4a+2b+c…②\\6=&a-b+c…③}\right.\]

次に、この連立3元1次方程式を解いていきます
\(②-①\)をして、\(3a+b=1…④\)
\(②-③\)をして、\(3a+3b=-3…⑤\)
そして④と⑤を連立方程式にして解くと\(a=1\)、\(b=-2\)

最後に、\(a=1\)、\(b=-2\)を①に代入して\(c=3\)を求めます

ゆえに、求める2次関数は\(y=x^2-2x+3\)

ここから平方完成をして\(y=a(x-p)^2+q\)の形にする必要はありません
このまま答えを書きましょう

\(y=a(x-α)(x-β)\)の形で答える問題の例

\(y=a(x-α)(x-β)\)の形で答えを書くと良いのは、(x)軸との交点が2つわかっているときです

問題:\(x\)軸と2点\((-3,0)\)、\((1,0)\)で交わり、\(y\)軸と\((0,-6)\)で交わる2次関数を求めよ

\(x\)軸は方程式\(y=0\)と同一であるため、\(x\)軸との交点の\(x\)座標は、\(y=a(x-α)(x-β)\)で\(y=0\)としたときの解\(α\)と\(β\)となります

したがって、この問題のように\(x\)軸との交点が2つわかっているときは、因数分解した形である\(y=a(x-α)(x-β)\)の\(α\)と\(β\)がすでにわかっている状態となります

よって、この問題の\(x\)軸との交点\((-3,0)\)、\((1,0)\)より\(α=-3\)、\(β=1\)

これらを\(y=a(x-α)(x-β)\)に代入すると

\[y=a(x+3)(x-1)\]となります

あとは、\(a\)の値を求めるために、残りの座標\((0,-6)\)を代入して計算していきます

\begin{align}-6&=a(0+3)(0-1)\\-6&=a×3×(-1)\\3a&=6\\a&=2\end{align}

ゆえに、求める2次関数は
\(y=2(x+3)(x-1)\)

ここから展開や平方完成をして\(y=ax^2+bx+c\)や\(y=a(x-p)^2+q\)の形にする必要はありません
このまま答えを書きましょう

問題に「\(x\)軸との交点」という言葉なく、3点の座標のみが記されている問題でも因数分解した形で式を求められることがある

3点の座標のみが記されている問題は基本的に連立3元1次方程式を解いて式を求める必要があります

しかし、座標に書かれている数字によっては、因数分解した形の解き方で簡単に式を求めることができます

上記で説明した例題のように、座標が\((1,2)\)、\((2,3)\)、\((-1,6)\)のような数字ならばどんなに面倒でも諦めて連立3元1次方程式を解いてください

しかし、例えば座標が\((-3,0)\)、\((5,0)\)、\((4,7)\)のような数字ならば因数分解した形で簡単に式が求められます

理由は簡単です

問題に記されている3つの座標の\(y\)座標に注目しよう

\(y\)座標が\(0\)である点は\(x\)軸上に存在します

ゆえに、\((-3,0)\)、\((5,0)\)は\(x\)軸上の点であると言い切ることができます

問題文の中に\(x\)軸と2点で交わるという言葉がなくても、\(y\)座標が\(0\)となっている座標が2つ書かれていれば因数分解した形で式を求めることができます

連立3元1次方程式を解くのは非常に面倒なので、解き始める前に\(y\)座標を確認して因数分解した形にできるかどうか判断しましょう

ちょっと確認するだけで、かなり楽ができますよ

成績アップのコツ、解き始める前に解説を読んでも良い、解説書は先生と同じと考えよう