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  3. 先に4勝した方が優勝となる確率―日本シリーズ―
阪神甲子園球場

プロ野球の日本シリーズでは先に4勝したチームが優勝です

実は、先に4勝したら優勝とただ4勝したら優勝では、同じ4勝して優勝でも、確率の求め方が変わります

その理由は、ただ4勝したら優勝の場合、最終戦で負けても4勝していれば優勝できるのに対し、先に4勝したら優勝の場合は、最終戦は必ず勝ちとなるからです

4勝した方が優勝となる場合の確率

例えば6試合して4勝した方が優勝だった場合、例えば初戦から4連勝したあと、残りの試合を2連敗しても優勝となります

このような問題では、6回行う試合のうち、どこでもいいから4回勝てばいいのです

したがって、反復試行の確率をそのまま計算すれば答えが求められます

では、求め方を以下の例題を使って説明します

問題
AチームとBチームが6試合を行い、Aが4勝2敗となる確率を求めよ
ただし、Aが勝つ確率は常に\(\frac{2}{3}\)、Bが勝つ確率は常に\(\frac{1}{3}\)とし、引き分けはないとする

すでに説明した通り、6回行う試合のうち、どこでもいいから4回勝って、どこでもいいから2回負ければいいのです

Aは\(\frac{2}{3}\)の確率で4回勝つので、その確率は\((\frac{2}{3})^4\)、さらにAは\(\frac{1}{3}\)の確率で2回負けるので、その確率は\((\frac{1}{3})^2\)
そして6回の試合のうち、どこで4回勝つのかを組み合わせ\(C\)を使って選ぶと式が完成します

よって、この問題の式は\begin{align}_6C_4\left(\frac{2}{3}\right)^4\left(\frac{1}{3}\right)^2\end{align}

まるで教科書の例題のような、お手本通りの反復試行の確率の式ができました

あとはこの式を解くだけで答えが求められます

\begin{align}_6C_4\left(\frac{2}{3}\right)^4\left(\frac{1}{3}\right)^2&=\frac{6×5×4×3}{4×3×2×1}×\left(\frac{2}{3}\right)^4×\left(\frac{1}{3}\right)^2\\&=15×\frac{16}{81}×\frac{1}{9}\\&=\frac{80}{243}\end{align}

※式は横スクロールできます

成績アップのコツ、電車の中などではノートを見るだけで復習になるよ

先に4勝した方が優勝とするときの確率

先に4勝した方が優勝とするとき、どちらかのチームが4勝した時点で終了になるため、最後の試合は必ず優勝するチームが勝ち、さらに、その勝利が4勝目となります

そのため、実施される試合数は確定されません

どちらかのチームが4連勝して4試合で終わる場合もあれば、3勝3敗で7試合目も行われる場合もあります

問題
先に4勝した方が優勝とする
AチームとBチームが試合を行い、Aが4勝2敗で優勝する確率を求めよ
ただし、Aが勝つ確率は常に\(\frac{2}{3}\)、Bが勝つ確率は常に\(\frac{1}{3}\)とし、引き分けはないとする

先に4勝した方が優勝とする条件で、4勝2敗で優勝する場合、5試合終了時点で3勝2敗で優勝に王手をかけ、6試合目は必ず勝つ必要があります

ちなみに5試合行ったうち、どこで3回勝ってもかまわないので、反復試行の確率を使って計算し、最後に6試合目の勝率をかけ算すればこの問題の答えが求められます

よってこの問題の式は\begin{align}_5C_3\left(\frac{2}{3}\right)^3\left(\frac{1}{3}\right)^2×\frac{2}{3}\end{align}

あとはこの式を解くだけで答えが求められます

\begin{align}_5C_3\left(\frac{2}{3}\right)^3\left(\frac{1}{3}\right)^2×\frac{2}{3}&=\frac{5×4×3}{3×2×1}×\left(\frac{2}{3}\right)^3×\left(\frac{1}{3}\right)^2×\frac{2}{3}\\&=10×\frac{8}{27}×\frac{1}{9}×\frac{2}{3}\\&=\frac{160}{729}\end{align}

※式は横スクロールできます

問題
先に4勝した方が優勝とする
AチームとBチームが試合を行い、Aが優勝する確率を求めよ
ただし、A・Bともに勝つ確率は常に\(\frac{1}{2}\)とし、引き分けはないとする

これはプロ野球の日本シリーズで推しチームが日本一になる確率を求める問題です

それぞれのリーグで140試合以上を行い、クライマックスシリーズを勝ち抜いた事に敬意を表し、両チームの強さは互角、つまり勝つ確率は\(\frac{1}{2}\)とします
また、計算が複雑になるため、引き分けはなしとします

この問題は場合分けをして解く必要があります

Aが先に4勝して優勝するパターンは以下の4つがあります
①4連勝で優勝
②4勝1敗で優勝
③4勝2敗で優勝
④4勝3敗で優勝

上記4つのパターンの確率をそれぞれ求め、全てたし算すると答えになります
では、①から順に確率を求めていきましょう

①4連勝で優勝

\begin{align}\left(\frac{1}{2}\right)^4=\frac{1}{16}=\frac{2}{32}\end{align}

②4勝1敗で優勝

\begin{align}_4C_3\left(\frac{1}{2}\right)^3\left(\frac{1}{2}\right)^1×\frac{1}{2}&=\frac{4×3×2}{3×2×1}×\left(\frac{1}{2}\right)^3×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}\\&=4×\frac{1}{8}×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}\\&=\frac{4}{32}\end{align}

③4勝2敗で優勝

\begin{align}_5C_3\left(\frac{1}{2}\right)^3\left(\frac{1}{2}\right)^2×\frac{1}{2}&=\frac{5×4×3}{3×2×1}×\left(\frac{1}{2}\right)^3×\left(\frac{1}{2}\right)^2×\frac{1}{2}\\&=10×\frac{1}{8}×\frac{1}{4}×\frac{1}{2}\\&=\frac{5}{32}\end{align}

④4勝3敗で優勝

\begin{align}_6C_3\left(\frac{1}{2}\right)^3\left(\frac{1}{2}\right)^3×\frac{1}{2}&=\frac{6×5×4}{3×2×1}×\left(\frac{1}{2}\right)^3×\left(\frac{1}{2}\right)^3×\frac{1}{2}\\&=20×\frac{1}{8}×\frac{1}{8}×\frac{1}{2}\\&=\frac{5}{32}\end{align}

これらの和は\begin{align}\frac{2}{32}+\frac{4}{32}+\frac{5}{32}+\frac{5}{32}=\frac{16}{32}=\frac{1}{2}\end{align}

※式は横スクロールできます

よって、日本シリーズで推しチームが日本一になる確率は\(\frac{1}{2}\)

成績アップのコツ、1問ずつ答え合わせをしよう