
問題集の解説を読んでいると、『\(|x+3|=5\)は、\(|x+3|=±5\)となるので…』と書いてありますね
ここで、\(|x+3|=±5\)となる理由がわかっていれば、この内容を読む必要はありません
というよりも、このページにアクセスさえしていないでしょう
しかし数学が苦手な人は、\(|x+3|=5\)がなぜ\(|x+3|=±5\)となるのかがわからないのに、この理由の解説が見事に抜け落ちているため、全く理解できず困ってしまいますよね
では、なぜ\(|x+3|=5\)が\(|x+3|=±5\)になるのかを説明していきましょう
目次
絶対値を含む問題を解くときのポイントは「場合分け」
絶対値を含む問題を解くときのポイントは「場合分け」です
もちろん、場合分けをする必要がない問題も存在します
しかしそれは、問題文を読んだ結果、例えば「この問題は正の数に限定される」などの判断ができたときに限られます
よつて、「絶対値が出題されたら場合分け」と考えて解き進めてください
絶対値の「場合分け」とは
絶対値の説明は、教科書や参考書に以下のように書かれています
\begin{align}&a≧0のとき、|a|=a\\&a<0のとき、|a|=-a\end{align}
つまりこれは以下のように考えるということです
●絶対値記号の中の数字がゼロまたは正の数のとき
→絶対値記号の中の数字そのままとなる
●絶対値記号の中の数字が負の数のとき
→絶対値記号の中の数字にマイナスを付けた数字にする
よって、\(|5 |\)は\(5\)となり、\(|-6 |\)は\(-(-6)\)つまり\(6\)となります
また、\(|π-3 |\)は\(π-3\)となり、\(|3-π |\)は\(-(3-π)\)つまり\(-3+π\)となります
※\(π≒3.141592…\)なので
\(|π-3 |\)≒\(|3.141592…-3|\)≒\(|0.141592…|\)
よって、絶対値の中の数字が正の数なので、そのまま\(π-3\)と書く
\(|3-π |\)≒\(|3-3.141592…|\)≒\(|-0.141592…|\)よって、絶対値の中の数字が負の数なので、\(-3+π\)と書く
では、\(|x-3|\)はどうなるのでしょうか
この場合の\(x\)は変数です
つまり、どんな数字なのか現時点でははっきりとわからないため、正の数&ゼロまたは負の数の判断がつきません
しかし数学では、「判断がつかないから解けない」ではなく、「判断がつかないならどちらも考える」という考え方になります
そのため、『正の数&ゼロ』のときと『負の数』のときに場合分けして計算していくことになります
\(|x+3|=5\)を場合分けして解くと\(x+3=±5\)となる理由
\(|x+3|=5\)を場合分けして解いてみましょう
まず\(|x+3|\)が正の数またはゼロのとき、つまり、\(x+3≧0\)のとき
※数学の解答では\(x+3≧0\)とそのまま書かず、\(x≧-3\)と書き直します
方程式では特に意識しなくても正解にたどり着きますが、不等式では\(x\)のみの値の範囲がわかることがとても重要になります
面倒と思うかもしれませんが、\(x\)の範囲を意識する癖を付けましょう
\(x+3≧0\)のとき、すなわち\(x≧-3\)のとき
\begin{align}|x+3|&=5\\x+3&=5\\x+3&=+5\end{align}
次に\(|x+3|\)が負の数のとき、つまり、\(x+3<0\)のとき
\(x+3<0\)のときすなわち\(x<-3\)のとき
\begin{align}|x+3|&=5\\-(x+3)&=5\\x+3&=-5\end{align}
これらをまとめて書くと
\begin{align}|x+3|&=5\\x+3&=±5\end{align}
問題集の模範解答は場合分けの計算部分をゴッソリと省略して上記の最後の一行のみ書かれているというわけです
\(|x+3|=5\)を最後まで計算してみよう
では\(|x+3|=5\)をかなり細かく途中式を書いて最後まで計算してみましょう
\begin{align}|x+3|&=5\\x+3≧0すなわちx≧-3のとき\\|x+3|&=5\\x+3&=5\\x+3&=+5\\x+3<0すなわちx<-3のとき\\|x+3|&=5\\-(x+3)&=5\\x+3&=-5\\したがって x+3&=±5\\よって、x+3=5よりx&=2\\ x+3=-5よりx&=-8\end{align}
ここで最初に\(x≧-3\)や\(x<-3\)と書いたことを思い出してください
\(x≧-3\)とはつまり、「\(x\)の値は\(-3\)以上じゃないとダメですよ!」ということです
同様に考えると、\(x<-3\)とはつまり、「\(x\)の値は\(-3\)未満じゃないとダメですよ!」ということです
よって、求めた答え\(x=2\)が\(-3\)以上に当てはまっているか、そして、\(x=-8\)が\(-3\)未満に当てはまっているか、この2点を考えなければなりません
確認した結果、\(x=2\)は\(-3\)以上に当てはまっており、そして、\(x=-8\)は\(-3\)未満に当てはまっているため、この問題の答えは\(x=2,-8\)となります
絶対値を含む不等式の答え方
絶対値を含む不等式は以下のような答え方になります
不等式\(|x|<a\)で\(a>0\)のときの解は
\(-a<x<a\)
不等式\(|x|>a\)で\(a>0\)のときの解は
\(x<-a,a<x\)
もちろん不等式\(|x+2|<3\)の解答・解説を確認しても、たった一言、\(-5<x<1\)と書かれているだけです
数学が苦手な人にとっては、「なんでそうなるの?」となりますよね
なんでそうなるのって思ったら以下の途中式を確認してください
正直、\(|x+2|<3\)くらいのレベルの問題で、ここまで書く必要はないよ、というところまで書いています
しかし、以下の考え方を理解すれば、より難しい不等式の問題もスラスラと解けるようになりますよ
絶対値を含む不等式\(|x+2|<3\)の解き方
絶対値を含む不等式も場合分けをして解きます
絶対値を含む方程式と同じように、\(|x+2|\)が正の数またはゼロのときと、\(|x+2|\)が負の数のときに場合分けします
前述の通り、絶対値記号の中の数字が正の数またはゼロだった場合は、絶対値の中の数字をそのまま書くので、\(x+2≧0\)のときは\(x+2<3\)となります
同様に考えて、絶対値記号の中の数字が負の数だった場合は、絶対値の中の数字にマイナスをつけて書くので、\(x+2<0\)のときは\(-(x+2)<3\)となります
※\(x+2≧0\)を\(x≧-2\)そして\(x+2<0\)を\(x<-2\)と変形することを忘れないでください
では、細かく途中式を書きながら解いてみましょう
\begin{align}|x+2|&<3\\x+2≧0すなわちx≧-2のとき\\|x+2|&<3\\x+2&<3\\x&<1\end{align}
\(x≧-2\)よりxの値は\(-2\)以上でなければならず、また、計算の結果より\(x\)は\(1\) 未満でなければならないため、答えとなる\(x\)の範囲は\(-2≦x<1\)
\begin{align}|x+2|&<3\\x+2<0すなわちx<-2のとき\\|x+2|&<3\\-(x+2)&<3\\x+2>-3\\x&>-5\end{align}
\(x<-2\)よりxの値は\(-2\)未満でなければならず、また、計算の結果より\(x\)は\(-5\)以上でなければならないため、答えとなる\(x\)の範囲は\(-5<x<-2\)
よって、\(-2≦x<1\)と\(-5<x<-2\)の両方を満たす範囲は、\(-5<x<1\)