
問題集やテスト、模試、入試…と因数分解は様々な場面で出題されます
今回は非常によく出題される、少し複雑な因数分解の問題を3問、説明していきます
説明に使用する例題は以下の3問です
よく出題される少し複雑な因数分解・3問
①(a+b)(b+c)(c+a)+abc
②a^2(b−c)+b^2(c−a)+c^2(a−b)
③(x+1)(x−1)(x−3)(x−5)+12
今回は上記3つの問題のうち、②を解説します
目次
よく出題される少し複雑な因数分解\begin{align}②a^2(b−c)+b^(c−a)+c^2(a-b)\end{align}
第2問\begin{align}a^2(b−c)+b^2(c−a)+c^2(a−b)\end{align}
この問題は、\(a\)も\(b\)も\(c\)も全て次数が同じなので、\(a\)、\(b\)、\(c\)のうちどれかひとつの文字に着目し、整理し直してから因数分解を始めます
※2種類以上の文字を含む式の因数分解で同じ次数の文字が2つのある時の因数分解の解説
今回は\(a\)に着目します
\(a\)にする理由は特にありません
どの文字に着目しても必ず答えは求められますが、強いて言うならば、\(a\)に着目しておけば模範解答の解説と同じ形になる可能性が高いからです
模範解答と同じならば、計算ミスなどがあった場合に、間違ったところが見つけやすくなる…という程度の理由です
では計算していきますね

\(a\)に着目して式をまとめなおそう
\(a\)に着目して式をまとめなおすために、まず\(b^2(c−a)+c^2(a−b)\)の部分を展開します
ちなみに、\(a^2(b−c)\)の部分はすでに\(a^2\)で同類項がまとまっているので展開する必要はありません
\begin{align}&a^2(b−c)+b^2(c−a)+c^2(a−b)\\=&(b−c)a^2\color{green}{+b^2c}\color{blue}{−b^2a}\color{blue}{+c^2a}\color{green}{-c^2b}\\=&(b−c)a^2+\color{blue}{(−b^2+c^2)a}+\color{green}{(b^2c−c^2b)}\\=&(b−c)a^2\color{blue}{−(b^2−c^2)a}\color{green}{+(b^2c−c^2b)}\end{align}
これで\(a\)に着目し、同類項をまとめ終えることができました
\(−(b^2−c^2)a\)と\((b^2c−c^2b)\)を因数分解しよう
\(a\)に着目して同類項をまとめなおしたけれど、このあと\((b−c)a^2−(b^2−c^2)a+(b^2c−c^2b)\)をどうしたらいいの?
確かに、このあともう何もできないように思えますね
しかし、因数分解とは「かけ算だけの式にすること」です
この式は、まだ\(−(b^2−c^2)a\)と\((b^2c−c^2b)\)の部分をさらに因数分解して、それぞれかけ算だけの項にしなければなりません
\begin{align}&(b−c)a^2\color{blue}{−(b^2−c^2)a}\color{green}{+(b^2c−c^2b)}\\=&(b−c)a^2\color{blue}{-(b+c)(b-c)a}\color{green}{+bc(b-c)}\end{align}
共通部分を\(A\)と置きかえて因数分解を続けよう
\((b−c)a^2-(b+c)(b-c)a+bc(b-c)\)まで計算を終えると、各項に\((b-c)\)という共通因数があることに気づくでしょう
次に行うことは、この共通因数\((b-c)\)を\(A\)と置き換えて因数分解、です
\begin{align}&\color{purple}{(b−c)}a^2-(b+c)\color{purple}{(b-c)}a+bc\color{purple}{(b-c)}\\=&\color{purple}{A}a^2-(b+c)\color{purple}{A}a+bc\color{purple}{A}\\=&\color{purple}{A}\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\\=&\color{purple}{(b-c)}\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\end{align}
これで因数分解が完成…
のように見えますが、後半のカッコ\(\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\)の中がまだ因数分解できます
後半のカッコ\(\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\)の中を因数分解しよう
\((b-c)\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\)で因数分解が終わったように見えますが、後半のカッコ内がさらに因数分解できます
したがって、\(\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\)の部分を因数分解しなければ正解とはなりません
では\(\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\)の部分を因数分解していきましょう
かけ算して\(bc\)、たし算して\(−(b+c)a\)になるように\(b\)と\(c\)を組み合わせます
\begin{align}&(b-c)\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\\=&(b-c))\left\{(a−b)(a−c)\right\}\\=&(b-c)(a-b)(a-c)\\=&(a-b)(b-c)(−c+a)\\=&(a-b)(b-c)✕−(c−a)\\=&−(a-b)(b-c)(c−a)\end{align}
最後は\((b-c)(a+b)(a+c)\)で終了せず、文字が「しりとり状態」になるように必ず並べ替えましょう
解き方全手順
\begin{align}&a^2(b−c)+b^2(c−a)+c^2(a−b)\\=&(b−c)a^2\color{green}{+b^2c}\color{blue}{−b^2a}\color{blue}{+c^2a}\color{green}{-c^2b}\\=&(b−c)a^2+\color{blue}{(−b^2+c^2)a}+\color{green}{(b^2c−c^2b)}\\=&(b−c)a^2\color{blue}{−(b^2−c^2)a}\color{green}{+(b^2c−c^2b)}\\=&(b−c)a^2\color{blue}{-(b+c)(b-c)a}\color{green}{+bc(b-c)}\\=&\color{purple}{A}a^2-(b+c)\color{purple}{A}a+bc\color{purple}{A}\\=&\color{purple}{A}\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\\=&\color{purple}{(b-c)}\left\{a^2-(b+c)a+bc\right\}\\=&(b-c))\left\{(a−b)(a−c)\right\}\\=&(b-c)(a−b)(a−c)\\=&(a-b)(b-c)(−c+a)\\=&(a-b)(b-c)✕−(c−a)\\=&−(a-b)(b-c)(c−a)\end{align}
