
一番最初にした方が良いこと
結論から先に言うと、\((log_29+log_83)(log_32+log_94)\)のような問題は、まず底を変換してそろえることから始めると楽に計算ができます
実際には、数学の計算方法として正しいことをしていれば、いつ何をしても正解に辿り着くので、一番最初にすることについては特に決まりがありません
これは、分数のかけ算で約分を先にしても最後にしても必ず同じ答えになることと同じ理論です
つまり、最初に「乗法公式を使って展開」しても「底を変換して」も同じ答えになるし、「最初に底を変換」したあとに「通分して足し算」しても「乗法公式を使って展開」しても答えは同じになります
しかし、分数のかけ算は先に約分した方が簡単に計算できるように、この問題もまず底を変換し、そのあとはカッコの中を通分して足し算、最後にかけ算をする方法が最も楽に計算できます

底を変換する
問題\((log_29+log_83)(log_32+log_94)\)
最初に述べた通り、この問題はまず底を変換することから始めると計算が楽になります
底はどの数字に変換しても答えは必ず求められますが、今回は全ての底を2にそろえて計算していきます
※\(log_22\)は1
※\(log\)の前の数字(係数)は約分可能
\begin{align}\require{cancel}&(log_29+log_83)(log_32+log_94)\\=&(log_23^2+log_83)(log_32+log_92^2)\\=&(2log_23+log_83)(log_32+2log_92)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{log_28}\right)\left(\frac{log_22}{log_23}+\frac{2log_22}{log_29}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{log_22^3}\right)\left(\frac{log_22}{log_23}+\frac{2log_22}{log_23^2}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{3log_22}\right)\left(\frac{log_22}{log_23}+\frac{2log_22}{2log_23}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{3✕1}\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{\bcancel{2}✕1}{\bcancel{2}log_23}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{1}{3}log_23\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{1}{log_23}\right)\end{align}
これで底を全て2に変換することができたので、次の計算過程に進みます
底を変換したあとは係数を通分してたし算
底を変換したあとは、カッコの中を計算しましょう
展開していく方法も可能てすが、計算が楽なのはカッコの中を先に計算する方法です
カッコの中は、係数、つまり\(log)の前にある数字を通分してたし算します
\(log\)の前に何も数字がない場合は、「1」が省略されていると考えてください
つまり、\(log_23\)は、\(1log_23\)です
では通分してたし算をしていきましょう
\begin{align}&\left(2log_23+\frac{1}{3}log_23\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{1}{log_23}\right)\\=&\left(\frac{6}{3}log_23+\frac{1}{3}log_23\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{1}{log_23}\right)\\=&\left(\frac{7}{3}log_23\right)✕\left(\frac{2}{log_23}\right)\end{align}
これで通分してたし算することができました

あとはかけ算するだけ
通分してたし算まで行えば、あとはかけ算すれば答えです
\(log\)の計算では、底と真数が同じであれば約分することができます
\(\displaystyle\frac{7}{3}log_23\)を\(\displaystyle\frac{7log_23}{3}\)とし\(log_23\)を約分すれば、\(log\)がない計算式になり、ただの分数のかけ算となります
では最後の計算を行いましょう
\begin{align}\require{cancel}&\left(\frac{7}{3}log_23\right)✕\left(\frac{2}{log_23}\right)\\=&\frac{7log_23✕2}{3✕log_23}\\=&\frac{7\bcancel{log_23}✕2}{3✕\bcancel{\log_23}}\\=&\frac{7✕2}{3✕1}\\=&\frac{14}{3}\end{align}
よって答えは\[\frac{14}{3}\]
計算過程を最初から最後まで通しで書きます
\begin{align}\require{cancel}&(log_29+log_83)(log_32+log_94)\\=&(log_23^2+log_83)(log_32+log_92^2)\\=&(2log_23+log_83)(log_32+2log_92)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{log_28}\right)\left(\frac{log_22}{log_23}+\frac{2log_22}{log_29}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{log_22^3}\right)\left(\frac{log_22}{log_23}+\frac{2log_22}{log_23^2}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{3log_22}\right)\left(\frac{log_22}{log_23}+\frac{2log_22}{2log_23}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{log_23}{3✕1}\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{\bcancel{2}✕1}{\bcancel{2}log_23}\right)\\=&\left(2log_23+\frac{1}{3}log_23\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{1}{log_23}\right)\\=&\left(\frac{6}{3}log_23+\frac{1}{3}log_23\right)\left(\frac{1}{log_23}+\frac{1}{log_23}\right)\\=&\left(\frac{7}{3}log_23\right)✕\left(\frac{2}{log_23}\right)\\=&\frac{7log_23✕2}{3✕log_23}\\=&\frac{7\bcancel{log_23}✕2}{3✕\bcancel{\log_23}}\\=&\frac{7✕2}{3✕1}\\=&\frac{14}{3}\end{align}
先に式を展開しても答えは求められる
もちろん先に展開しても答えは求められます
ただし、展開したあとは必ず底を変換しなければ先へ進めません
しかし、先に展開することで底を変換しなければならない項の数が増えるため、先に底を変換する方法よりも計算が面倒になります
以下は先に展開してから計算したときの計算過程です
\begin{align}\require{cancel}&(log_29+log_83)(log_32+log_94)\\=&log_29・log_32+log_29・log_94+log_83・log_32+log_83・log_94\\=&2log_23・log_32+2log_23・2log_92+log_83・log_32+log_83・2log_92\\=&2log_23・\frac{log_22}{log_23}+2log_23・\frac{2log_22}{log_29}+\frac{log_23}{log_28}・\frac{log_22}{log_23}+\frac{log_23}{log_28}・\frac{2log_22}{log_29}\\=&2log_23・\frac{1}{log_23}+2log_23・\frac{2}{2log_23}+\frac{log_23}{3}・\frac{1}{log_23}+\frac{log_23}{3}・\frac{2}{2log_23}\\=&2\bcancel{log_23}・\frac{1}{\bcancel{log_23}}+\bcancel{2log_23}・\frac{2}{\bcancel{2log_23}}+\frac{\bcancel{log_23}}{3}・\frac{1}{\bcancel{log_23}}+\frac{\bcancel{log_23}}{3}・\frac{\bcancel{2}}{\bcancel{2}\bcancel{log_23}}\\=&2+2+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}\\=&\frac{14}{3}\end{align}
「こっちのほうが式が短いじゃん!」と思った人、計算過程をよく見てください
この計算過程は、先に底を変換する方法よりも途中式をかなり省略しています
先に底を変換する方法と同じくらい途中式を丁寧に記入していけば、この先に展開する計算方法はもっともっと途中式が長くなります
とはいえ、どの計算方法を使って計算するかは個人の好みです
間違ったことをしない限り、自分が計算しやすいように計算することがミスなく素早く一番正解しやすい方法です
教科書通りの方法にこだわらず、自分なりに早く正確に計算できる方法を選んで解き進めてください