簡単な等差数列や等比数列ならばすぐに\(Σ\)の式を作れるけれど、少し複雑になると式が作れなくなる、という人は意外とたくさんいます
そして解説を読んで納得できても「そんなの思いつかない」「閃かない」と悪態をつく…
でも高校数学の問題は「思いつき」や「閃き」で解くものではなく、公式や仕組みを理解し、そして「解法のパターンを暗記」すれば簡単に解けます
以下はいろいろな数列の\(Σ\)の式を作るときのパターンの紹介です
目次
第\(k\)項\(a_k\)は因数ごとに分けて考える
数列の和は、第\(k\)項\(a_k\)を求め、\(\sum_{k=1}^{n}a_k\)を計算すれば求めらます
計算は複雑ですが立式はめちゃくちゃ簡単です
さらっと「簡単です」と言い切られても、数学が苦手な人にとっては「第\(k\)項を求めることが最大の難関だ」となるでしょう
でも第\(k\)項は本当に簡単に求められます
第\(k\)項を求めるコツは、「因数ごとに小分けにする」、そして、「いくつかのパターンを覚えてしまう」です
例えば、次の数列\(1・2,2・4,3・6,……\)ならば、各項は左の数字(因数)\(×\)右の数字(因数)となっています
これを因数ごとに分けて考えると、以下のようになります
左の因数だけの数列:\(1,2,3,……\)
右の因数だけの数列:\(2,4,6,……\)
すると、左の因数だけの数列は、初項\(1\)、公差\(1\)の等差数列となるため、第\(k\)項は以下のように計算できます
等差数列の一般項\(a_n=初項+(n-1)×公差\)より、
\(a_k=1+(k-1)×1\\a_k=k\)
よって\(a_k=k\)
同様に右の因数だけの数列を考えると、初項\(2\)、公差\(2\)の等差数列となるため、第\(k\)項は以下のように計算できます
等差数列の一般項\(a_n=初項+(n-1)×公差\)より、\(a_k=2+(k-1)×2\\a_k=2k\)よって\(a_k=2k\)
元の数列は各項が「左の因数×右の因数」の数列になっています
よって元の数列の第\(k\)項は、\(a_k=k×2k\)と考えることができます
このように、複雑な第\(k\)項は因数ごとに小分けにすることによって簡単に求められます
そしてあとは、等差数列や等比数列の一般項の求め方、2乗になっているときは\(k^2\)、偶数ならば\(2k\)、奇数ならば\(2k+1\)などの基本を暗記しておけば、ほぼ悩むことなく第\(k\)項を求めることができます
ではこの数列の和を実際に計算してみましょう
次の数列の初項から第\(n\)項までの和を求めてみよう\(1・2,2・4,3・6,……\)
この数列の第\(k\)項は、各項を因数ごとに小分けにすることによって、\(a_k=k×2k\)とわかりました
よって、この数列の和を\(Σ\)記号を使って表すと\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k×2k)\)となります
あとはこの式を「数列の和の公式」や「\(Σ\)の記号の性質」にしたがって計算していきます
計算は以下のようになります
\[\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k×2k)&=&\displaystyle\sum_{k=1}^{n}2k^2\\&=&2\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2\\&=&2×\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\\&=&\frac{1}{3}n(n+1)(2n+1)\end{eqnarray}\]
よって答えは\[\frac{1}{3}n(n+1)(2n+1)\]
※式は展開しない方が良い
※和の公式より\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)
次の数列の初項から第\(n\)項までの和を求めてみよう\(1^2・1,2^2・4,3^2・7,4^2・10,……\)
第\(k\)項の求め方をもう少し練習してみましょう
問題の数列は\(1^2・1,2^2・4,3^2・7,4^2・10,……\)
第\(k\)項は基本通り因数ごとにわけて求めます
この問題の場合、因数は各項の左側の数字「整数の2乗」の部分と、各項の右側の数字「整数」の部分の2つに分けると解きやすくなります
因数ごとに分けて数列を考えると、以下のようになります
左の因数だけの数列:\(1^2,2^2,3^2,4^2,……\)
右の因数だけの数列:\(1,4,7,10,……\)
まず、左の因数だけの数列の第\(k\)項から考えてみます
左の因数だけの数列は、各項ともに自然数の2乗になっているので、第\(k\)項は\(a_k=k^2\)
次に、右の因数だけの数列は、初項\(1\)、公差\(3\)の等差数列となるため、第\(k\)項は以下のように計算できます
等差数列の一般項\(a_n=初項+(n-1)×公差\)より、\(a_k=1+(k-1)×3\\a_k=3k-2\)よって\(a_k=3k-2\)
元の数列は各項が「左の因数の2乗×右の因数」の数列になっています
よって元の数列の第(k)項は、\(a_k=k^2×3k-2\)、これを整理して\(a_k=3k^3-2k^2\)となります
この数列の和を\(Σ\)記号を使って表すと\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(3k^3-2k^2)\)となります
では、この式を「数列の和の公式」や「\(Σ\)の記号の性質」にしたがって計算していきます
\[\begin{eqnarray}\sum_{k=1}^{n}(3k^3-2k^2)&=&3\sum_{k=1}^{n}k^3-2\sum_{k=1}^{n}k^2\\&=&3×\frac{1}{4}n^2(n+1)^2-2×\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\\&=&\frac{3}{4}n^2(n+1)^2-\frac{1}{3}n(n+1)(2n+1)\\&=&\frac{9}{12}n^2(n+1)^2-\frac{4}{12}n(n+1)(2n+1)\\&=&\frac{1}{12}×9n^2(n+1)^2-\frac{1}{12}×4n(n+1)(2n+1)\\&=&\frac{1}{12}n(n+1)×9n(n+1)-\frac{1}{12}n(n+1)×4(2n+1)\\&=&\frac{1}{12}n(n+1)\{9n(n+1)-4(2n+1)\}\\&=&\frac{1}{12}n(n+1)(9n^2+9n-8n-4)\\&=&\frac{1}{12}n(n+1)(9n^2+n-4)\end{eqnarray}\]
※計算式は横スクロールできます
※和の公式を確認したい人はこちら
よって答えは\[\frac{1}{12}n(n+1)(9n^2+n-4)\]
計算は展開せずに因数分解を利用してまとめていきましょう
※因数分解でまとめる詳しい方法はこちら