2次関数の問題には平方完成をしなければ解けない問題がたくさんあります
しかし、ちょっとレベルの高い問題になると、関数の式の中に分数や文字が存在したり、文字に着目して式を整理する必要があったりと、非常にややこしくなります
複雑な式を平方完成すると、当たり前ですが計算ミスの可能性が高くなります
平方完成をする過程で計算ミスをすると、もうその大問全てを間違ってしまうと言っても過言ではありません
数学で高得点を狙うためには、どんなに複雑な式でも必ず完璧に平方完成できるようになっておく必要があります
平方完成とは
平方完成とは中学生のときに学習した2次方程式の解を求めるときに使う方法のひとつで、「\(x\)の係数の\(\frac{1}{2}\)の2乗を両辺に加える」という変形を行うことを言います
2次方程式では、この方法で式を変形することで平方根の考え方を使った解き方へと繋がり、解を求めることができます
関数と方程式は全く違うものに見えるかもしれませんが、実は、関数は左辺の\(y\)の値と右辺の式の値が等しい方程式なので、「\(x\)の係数の\(\frac{1}{2}\)の2乗を両辺に加える」という変形を行うことができます
平方完成の方法
平方完成の方法は、「\(x\)の係数の\(\frac{1}{2}\)の2乗を両辺に加える」だけです
ただし2次関数では、左辺\(y\)に加えた数字を移項する作業をあらかじめ行います
慣れるまでは難しく感じるかもしれません
では平方完成の方法を詳しく説明していきます
【例題】\(y=x^2-4x+3\)
まずはじめに、平方完成する\(x\)がついている項にカッコをつけて、全く作業をしない定数項と分けておきます
カッコをつけて分ける理由は、計算ミスを防ぐためです
めんどくさがらずに必ずつけましょう
\(y=(x^2-4x)+3\)
次に、「\(x\)の係数の\(\frac{1}{2}\)の2乗を両辺に加える」作業をしていきます
ただし、左辺\(y\)に加える数はあらかじめ右辺に移項しておきます
もちろんカッコをつけて計算ミスを防ぐことも忘れずに
この問題は、\(x\)の係数は4なので、4を\(\frac{1}{2}\)にして2乗した数の4を加えます
\(y=\{(x^2-4x+4)-4\}+3\)
そして、\(x^2-4x+4\)の部分を因数分解して\((x-2)^2\)と書きましょう
\(y=\{(x-2)^2-4\}+3\)
最後にカッコをはずして右辺の定数項をまとめて完成です
\(y=(x-2)^2-4+3\)
\(y=(x-2)^2-1\)
これまでの流れをまとめて書きます
【例題】
\(y=x^2-4x+3\)
\(y=(x^2-4x)+3\)
\(y=\{(x^2-4x+4)-4\}+3\)
\(y=(x-2)^2-4+3\)
\(y=(x-2)^2-1\)
\(x^2\)の項に係数がついてる問題の平方完成
次に初心者がよく間違える、\(x\)^2の項に係数がついてる問題を説明します
複雑な問題でもカッコをしっかりと使えばミスなく解けます
カッコを必ずつけることを心がけましょう
【例題】\(y=-2x^2-4x+3\)
まず\(x\)がついている項にカッコをつけます
\(y=(-2x^2-4x)+3\)
つぎに、カッコの中を-2で因数分解します
\(y=-2(x^2+2x)+3\)
そして、「\(x\)の係数の\(\frac{1}{2}\)の2乗を両辺に加える」作業をします
このとき、必ず中カッコをつけます
平方完成を間違える原因の大半が中カッコを書いていないことによる計算ミスです
また、左辺から移行してきた数は中カッコの中に書きましょう(2で因数分解したあとの数字を平方完成しているためです)
\(y=-2\{(x^2+2x+1)-1\}+3\)
ここまでできたら次は\(x^2+2x+1\)を因数分解します
\(y=-2\{(x^2+1)^2-1\}+3\)
最後に-2を分配法則で計算し、同類項をまとめると完成です
\(y=-2(x^2+1)^2+2+3\)
\(y=-2(x^2+1)^2+5\)
これまでの流れをまとめて書きます
【例題】
\(y=-2x^2-4x+3\)
\(y=(-2x^2-4x)+3\)
\(y=-2(x^2+2x)+3\)
\(y=-2\{(x^2+2x+1)-1\}+3\)
\(y=-2\{(x^2+1)^2-1\}+3\)
\(y=-2(x^2+1)^2+2+3\)
\(y=-2(x^2+1)^2+5\)
平方完成でミスを減らすためには
これまでに何度も書きましたが、平方完成をミスなく計算するコツはカッコをしっかり書くことです
カッコをつけることで、どの部分を平方完成し、どの部分をそのまま置いておくのかをはっきりさせることがミスを減らす最大のポイントです
小カッコ、中カッコ、そして必要であれば大カッコまできちんと使って丁寧に計算しましょう
カッコをしっかりつけて計算すれば、文字を含んだ複雑な式の平方完成も間違わずに計算できるようになります
次は文字を含んだ複雑な式を平方完成してみましょう
文字を含んだ複雑な式をミスなく平方完成する方法
何度も書いているように、文字を含んだ複雑な式を平方完成するときも、カッコを使えば簡単に平方完成できます
では以下の例題をカッコをしっかり書き込んで解き進めていきましょう
【例題】\(y=-4x^2+4(a-1)x-a^2\)
\[\begin{align}y&=-4x^2+4(a-1)x-a^2\\y&=\{-4x^2+4(a-1)x\}-a^2\\y&=-4\{x^2-(a-1)x\}-a^2\\y&=-4[\{x^2-(a-1)x+\frac{(a-1)^2}{4}\}-\frac{(a-1)^2}{4}]-a^2\\y&=-4\{(x-\frac{a-1}{2})^2-\frac{(a-1)^2}{4}\}-a^2\\y&=-4(x-\frac{a-1}{2})^2+(a-1)^2-a^2\\y&=-4(x-\frac{a-1}{2})^2+\{(a-1)^2-a^2\}\\y&=-4(x-\frac{a-1}{2})^2+(a^2-2a+1-a^2)\\y&=-4(x-\frac{a-1}{2})^2+(-2a+1)\end{align}\]
※数式は横スクロールできます