数列の和を求める問題を解いて答え合わせをすると、模範解答は因数分解した形で書かれている…
ここで、因数分解していない自分の解答は間違いなのか、それとも因数分解していなくても正解として良いのか悩む人も多いでしょう
絶対に因数分解した形でなければならないのか、本当はどちらでもいいのか、そもそもなぜ模範解答は因数分解した形で答えているのか、これらの疑問を解消していきましょう
※数列Σの式を因数分解してまとめる方法をさ更に知りたい方はこちら
目次
実は因数分解した形でなくても正解としてもらえる
実は因数分解した形ではなく、項を並べる形(展開した形)で答えても解答が一致していれば正解としてもらえます
「どちらでもいいならわざわざ因数分解なんてしなくてもいいじゃない」と思う人もいるでしょう
でも、答えはできる限り因数分解した形にしておくことをお勧めします
いや、できる限りというより、必ず因数分解した形で答えを書くようにしましょう
因数分解した形で答えるべき理由とは
まず、因数分解した形で書いてあると解答そのものが見やすいです
解答そのものが見やすいので答え合わせも非常に楽です
見間違いが減り、余計なストレスもなくなります
解答が見やすい程度の理由であれば、因数分解した形でも項を並べる形(展開した形)でも計算が楽な方で答えれば良いとなりますが、他にも以下のような理由があります
- 和を求めたあと、続きの問題で\(n\)に具体的な数字を代入して計算する必要があるときは因数分解した形に代入したほうが計算しやすい
- 入試問題などで穴埋めの形で答えなければならないとき、対応できなくなる
- 実は展開するより因数分解する方が楽に計算できる
- 因数分解した形、つまり、掛け算だけの式になっているため、和の値が正の数なのか負の数なのかが見ただけでわかる
とくに1つ目と2つ目の理由は重要です
せっかく和の値を求めることができたのに、続きの問題で躓くのは不本意でしょう
また入試問題が穴埋めの形だったとき、答えは求められているのに解答欄の形に合わせることができないという理由で点数を落とすのももったいないです
また、隠れた重要な理由と言ってもいいのが3つ目です
実は展開して同類項をまとめるより、因数分解して式を整理していくほうが途中の計算が楽なのです(因数分解のコツは後述します)
以上の理由から、数列の和は因数分解した形で答えられるように練習を積み重ねていきましょう
数列の和を因数分解するコツは通分と共通因数
数列の和を因数分解するコツは通分することと共通因数を見つけることです
数列の和を計算していくと、\(\frac{1}{6}\)や\(\frac{1}{2}\)などの数字が出てきます
これら数字には共通因数がありますが、慣れていないと通分していない状態ではなかなか気づきません
まずは数字は通分するように心がけましょう
また数列の和の問題には、数字の共通因数だけでなく、\(n\)や\(n+1\)などの共通因数がよく出てきます
解き進める中で\(n\)や\(n+1\)に注目すれば共通因数を簡単に見つけられるでしょう
では以下の問題を使って実際に数列の和を因数分解した形で答える方法を説明していきます
問題
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k^2-2k)\)の和を求めよ
練習問題
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k^2-2k)\)の和を求めよ
数列の和の答えは因数分解した形で答えます
そしてこの問題は、高度な解法を使って解く問題ではなく、決まり通りの解き方をすれば答えにたどり着きます
解き方の手順
①和の記号\(Σ\)の性質を利用して、\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k^2-2k)\)を2つの数列に分ける
②数列の和の公式を使って計算する
③因数分解して式をまとめる
和の記号\(Σ\)の性質や数列の和の公式を忘れてしまったひとはこちらを確認してください
数列の和の公式の確認
和の記号\(Σ\)の性質の確認
和の記号\(Σ\)の性質を利用して、\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k^2-2k)\)を2つの数列に分けよう
和の記号\(Σ\)の性質を利用して、\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k^2-2k)\)を\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2\)と\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(-2k)\)にわけます
さらに\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(-2k)\)を\(\displaystyle-2\sum_{k=1}^{n}k\)に変形すると式は以下のようになります
\[\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k^2-2k)=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2\displaystyle-2\sum_{k=1}^{n}k\end{eqnarray}\]
ここまでできたら次は数列の和の公式を使って計算していきます
数列の和の公式を使って計算しよう
次はいよいよ数列の和の公式を使って計算を進めていきます
和の公式を当てはめて約分できるところを約分すると以下の式になります
\[\begin{eqnarray}\displaystyle&\sum_{k=1}^{n}k^2&\displaystyle-2\sum_{k=1}^{n}k\\&=\frac{1}{6}n&(n+1)(2n+1)-2×\frac{1}{2}n(n+1)\\&=\frac{1}{6}n&(n+1)(2n+1)-n(n+1)\end{eqnarray}\]
ここで展開してしまうとあとで因数分解しようとしても複雑すぎて手が止まってしまうでしょう
数列の和の問題を展開して計算していくと、\(n^3\)となることが多く、因数分解が困難になります
数列の和を因数分解するコツは、「通分」と「共通因数」です
因数分解して式をまとめ、答えを求めよう
\(\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-n(n+1)\)を因数分解していきましょう
コツは「通分」と「共通因数」です
まず\(\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-n(n+1)\)は\(\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-1n(n+1)\)と考えられます
よって通分すると
\[\begin{eqnarray}&\frac{1}{6}n&(n+1)(2n+1)-n(n+1)\\&=\frac{1}{6}n&(n+1)(2n+1)-\frac{6}{6}n(n+1)\\&=\frac{1}{6}n&(n+1)(2n+1)-6×\frac{1}{6}n(n+1)\end{eqnarray}\]
通分した式を見てみると、共通因数がとてもわかりやすくなります
ちなみにこの式の共通因数は以下青字の部分です
\[\color{blue}{\frac{1}{6}n(n+1)}(2n+1)-6×\color{blue}{\frac{1}{6}n(n+1)}\]
数列の和の問題では、\(n\)や\(n+1\)などの共通因数がよく出てきますので、共通因数を探す時はこれらに注目してみてください
では共通因数で因数分解しましょう
もちろん因数分解したあとはカッコの中を整理しましょう
\[\begin{eqnarray}&\frac{1}{6}n&(n+1)(2n+1)-6×\frac{1}{6}n(n+1)\\=&\frac{1}{6}n&(n+1)\{(2n+1)-6\}\\=&\frac{1}{6}n&(n+1)(2n-5)\end{eqnarray}\]
これで因数分解の完成です
慣れてしまえば展開して同類項をまとめるより簡単に答えが求められます
答え
因数分解できたら、答えの完成です
答え\[\frac{1}{6}n(n+1)(2n-5)\]
数列Σの式を因数分解してまとめる方法をもっと知りたい方はこちら