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  3. 任意の1次関数はどうやって表すの?f(x)=ax^2+bx+cf(0)=1で任意の1次関数g(x)に対して常に \int_0^{1} f(x)g(x)dx=0が成り立つとき、a,b,cの値を求めよ

f(x)=ax^2+bx+cf(0)=1とわかっているからcの値はすぐに求められる

まずcを求めたあとにabの値を求めていくが、ここからどうしていいかわからなくなる

じつは解き方はとても簡単で、\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0f(x)ax^2+bx+cを、g(x)に1次関数の式を代入して計算すると答えに辿りつける

しかし、1次関数の式ははっきりと書かれておらず、「任意の1次関数g(x)」となっている

では任意の1次関数とはいったいどう表現したらいい?

解き方の手順
①まずcの値を求める
②任意の1次関数g(x)を考える
f(x)g(x)\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0に代入して計算する
④恒等式の考え方でabを求める式を作る
abを求める式を解く

f(x)=ax^2+bx+cf(0)=1を代入し、cの値を求めよう

f(0)=1つまりf(x)=ax^2+bx+cx=0のときy=1である

f(x)=ax^2+bx+cx0y1を代入して計算すると

a×0^2+b×0+c=1\\c=1

よってc=1

cの値が求められたら

cの値が求められたら、次はabの値を考える

abの値は、\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0f(x)ax^2+bx+cを、g(x)に1次関数の式を代入して計算するだけで簡単に求められるが、f(x)ax^2+bx+cとわかっているのに対し、g(x)はわかっていないのでこのままでは代入できない

成績アップのコツ、友達に説明できるくらいまで知識を深めよう

任意の1次関数g(x)とは何か

実はg(x)はわかっていないのではなく「任意の1次関数」とわかっている

数学の世界での「任意」は「特に固定されていない」という意味合いの用語となる。「特に固定されていない」のであれば、自分の自由に決めてしまえばよい

g(x)=2x+1としてもいいし、g(x)=-\frac{391}{1297}x-\frac{21}{5}としてもこの問題の答えは求められる

今回は高校生らしくg(x)=kx+lとして問題を解いていくことにする

f(x)g(x)\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0に代入する

\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0f(x)=ax^2+bx+cg(x)=kx+lc=1を代入して計算すればabの値が求められる

代入すると

\int_0^{1} (ax^2+bx+1)(kx+l)dx=0

この計算を\int_0^{1} {akx^3+(al+bk)x^2+(bl+k)x+l}dx=0と展開しても答えは求められるが、途中式が非常に面倒になるので少し工夫して計算しよう

※数式は横スクロールできます

\int_0^{1} (ax^2+bx+c)(kx+l)dx=0を工夫して計算しよう

\int_0^{1} (ax^2+bx+1)(kx+l)dx=0

この式の展開の方法を工夫して\int_0^{1} {kx(ax^2+bx+1)+l(ax^2+bx+1)}dx=0とし、積分の計算をする

\begin{align}&\int_0^{1} {kx(ax^2+bx+1)+l(ax^2+bx+1)}dx=0&\\&\int_0^{1} kx(ax^2+bx+1)dx+\int_0^{1} l(ax^2+bx+1)dx=0&\\&\int_0^{1} k(ax^3+bx^2+x)dx+\int_0^{1} l(ax^2+bx+1)dx=0&\\&k×\int_0^{1} (ax^3+bx^2+x)dx+\int_0^{1} l(ax^2+bx+1)dx=0&\\&k×\left[\frac{ax^4}{4}+\frac{bx^3}{3}+\frac{x^2}{2}\right]_0^1+l×\left[\frac{ax^3}{3}+\frac{bx^2}{2}+x\right]_0^1=0&\\&k×{\frac{a(1-0)}{4}+\frac{b(1-0)}{3}+\frac{(1-0)}{2}}+l×{\frac{a(1-0)}{3}+\frac{b(1-0)}{2}+(1-0)}=0&\\&k×\left(\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}\right)+l×\left(\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1\right)=0&\end{align}

※数式は横スクロールできます

恒等式の考え方でabの値を求める式を作る

恒等式の考え方より、k×\left(\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}\right)+l×\left(\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1\right)=0が成立する条件は\left(\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}\right)=0\\かつ\\\left(\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1\right)=0のとき

k=0l=0でも成立するが、abの値が求められなくなる

よってabの値を求める式は下記のような連立方程式になる

\left\{\array{\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}=0\\\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1=0}\right.

※数式は横スクロールできます

式を解いてabを求めよう

あとは作った連立方程式を解くだけ

\left\{\array{\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}=0\\\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1=0}\right.

これを解くとa=6b=-6

成績アップのコツ、正解した問題も解説を読もう

答え

答えa=6b=-6、(c=1)