\(f(x)=ax^2+bx+c\)で\(f(0)=1\)とわかっているから\(c\)の値はすぐに求められる
まず\(c\)を求めたあとに\(a\)と\(b\)の値を求めていくが、ここからどうしていいかわからなくなる
じつは解き方はとても簡単で、\(\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0\)の\(f(x)\)に\(ax^2+bx+c\)を、\(g(x)\)に1次関数の式を代入して計算すると答えに辿りつける
しかし、1次関数の式ははっきりと書かれておらず、「任意の1次関数\(g(x)\)」となっている
では任意の1次関数とはいったいどう表現したらいい?
解き方の手順
①まず\(c\)の値を求める
②任意の1次関数\(g(x)\)を考える
③\(f(x)\)と\(g(x)\)を\(\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0\)に代入して計算する
④恒等式の考え方で\(a\)と\(b\)を求める式を作る
⑤\(a\)と\(b\)を求める式を解く
目次
\(f(x)=ax^2+bx+c\)に\(f(0)=1\)を代入し、\(c\)の値を求めよう
\(f(0)=1\)つまり\(f(x)=ax^2+bx+c\)で\(x=0\)のとき\(y=1\)である
\(f(x)=ax^2+bx+c\)の\(x\)に\(0\)、\(y\)に\(1\)を代入して計算すると
\[a×0^2+b×0+c=1\\c=1\]
よって\(c=1\)
\(c\)の値が求められたら
\(c\)の値が求められたら、次は\(a\)と\(b\)の値を考える
\(a\)と\(b\)の値は、\(\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0\)の\(f(x)\)に\(ax^2+bx+c\)を、\(g(x)\)に1次関数の式を代入して計算するだけで簡単に求められるが、\(f(x)\)が\(ax^2+bx+c\)とわかっているのに対し、\(g(x)\)はわかっていないのでこのままでは代入できない
任意の1次関数\(g(x)\)とは何か
実は\(g(x)\)はわかっていないのではなく「任意の1次関数」とわかっている
数学の世界での「任意」は「特に固定されていない」という意味合いの用語となる。「特に固定されていない」のであれば、自分の自由に決めてしまえばよい
\(g(x)=2x+1\)としてもいいし、\(g(x)=-\frac{391}{1297}x-\frac{21}{5}\)としてもこの問題の答えは求められる
今回は高校生らしく\(g(x)=kx+l\)として問題を解いていくことにする
\(f(x)\)と\(g(x)\)を\(\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0\)に代入する
\(\int_0^{1} f(x)g(x)dx=0\)に\(f(x)=ax^2+bx+c\)と\(g(x)=kx+l\)、\(c=1\)を代入して計算すれば\(a\)と\(b\)の値が求められる
代入すると
\[\int_0^{1} (ax^2+bx+1)(kx+l)dx=0\]
この計算を\[\int_0^{1} {akx^3+(al+bk)x^2+(bl+k)x+l}dx=0\]と展開しても答えは求められるが、途中式が非常に面倒になるので少し工夫して計算しよう
※数式は横スクロールできます
\[\int_0^{1} (ax^2+bx+c)(kx+l)dx=0\]を工夫して計算しよう
\[\int_0^{1} (ax^2+bx+1)(kx+l)dx=0\]
この式の展開の方法を工夫して\[\int_0^{1} {kx(ax^2+bx+1)+l(ax^2+bx+1)}dx=0\]とし、積分の計算をする
\[\begin{align}&\int_0^{1} {kx(ax^2+bx+1)+l(ax^2+bx+1)}dx=0&\\&\int_0^{1} kx(ax^2+bx+1)dx+\int_0^{1} l(ax^2+bx+1)dx=0&\\&\int_0^{1} k(ax^3+bx^2+x)dx+\int_0^{1} l(ax^2+bx+1)dx=0&\\&k×\int_0^{1} (ax^3+bx^2+x)dx+\int_0^{1} l(ax^2+bx+1)dx=0&\\&k×\left[\frac{ax^4}{4}+\frac{bx^3}{3}+\frac{x^2}{2}\right]_0^1+l×\left[\frac{ax^3}{3}+\frac{bx^2}{2}+x\right]_0^1=0&\\&k×{\frac{a(1-0)}{4}+\frac{b(1-0)}{3}+\frac{(1-0)}{2}}+l×{\frac{a(1-0)}{3}+\frac{b(1-0)}{2}+(1-0)}=0&\\&k×\left(\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}\right)+l×\left(\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1\right)=0&\end{align}\]
※数式は横スクロールできます
恒等式の考え方で\(a\)と\(b\)の値を求める式を作る
恒等式の考え方より、\[k×\left(\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}\right)+l×\left(\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1\right)=0\]が成立する条件は\[\left(\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}\right)=0\\かつ\\\left(\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1\right)=0\]のとき
※\(k=0\)、\(l=0\)でも成立するが、\(a\)と\(b\)の値が求められなくなる
よって\(a\)と\(b\)の値を求める式は下記のような連立方程式になる
\[\left\{\array{\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}=0\\\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1=0}\right.\]
※数式は横スクロールできます
式を解いて\(a\)と\(b\)を求めよう
あとは作った連立方程式を解くだけ
\[\left\{\array{\frac{a}{4}+\frac{b}{3}+\frac{1}{2}=0\\\frac{a}{3}+\frac{b}{2}+1=0}\right.\]
これを解くと\(a=6\)、\(b=-6\)
答え
答え\(a=6\)、\(b=-6\)、(c=1)